【インタビュー】提携トレーナーが語る『サッカーと身体』〜前編〜

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B-Wave Promotionでは、弊社所属選手に向けて身体操作トレーニングをサポートしています。

先日、全てのアスリートの能力を向上させたいという思いから、外部の受付を開始いたしました。

(リリースはこちらから!)


サッカー留学をサポートする弊社が身体操作トレーニングをサポートする理由は、身体能力で勝る外国人選手に対して負けないよう自身の道具である『身体』についての理解を深め、トレーニング及びコンディショニングを行なって行くことで、選手自身のフィジカルのポテンシャルを上げるためです。


今回は、実際にサポートを担当するBody Conditioning Designerの阿部純子氏をお招きし、『サッカーと身体』について深く伺っていきます。



■ 阿部純子とは、何者なのか?



–本日はよろしくお願いします!まず、初めに自己紹介をしていただいてもよろしいでしょうか?

 神奈川でバレエスタジオを主宰している阿部純子と申します。バレエスタジオAileは、今年で15年を迎え、下は3歳から上は還暦を過ぎた方まで、幅広い年代の方を指導しています。
 また昨年からは、大学で演劇ダンスの表現をする学生に、バレエの指導をしています。なので、大きく分けると、スタジオでの指導と、ダンサーとしての活動、大学での講師という3つの軸の活動に加え、現在はB-Wave含めサッカー選手やその他競技のスポーツ選手のフィジカルコンディショニングサポートを行っています。


–ありがとうございます。大きな軸はバレエ(ダンス)ということですが、阿部さんは東日本療術師協会・認定療術師でもいらっしゃいます。バレエダンサーでありながらいわゆる施術家を目指そうと思ったきっかけは何だったんですか?

プロダンサーを目指していた10代の頃から、自分の身体を使うことに対してとても疑問を感じていました。
「動作に対して、この身体の使い方は何かどこか違うんじゃないか」みたいな違和感ですね。その違和感が最初のきっかけです。

その後身体を酷使する過程で、(身体の)いろんなところに不調が出てきた時にさまざまな治療を受けたのですが、特殊な動きであるクラシックバレエを理解してくれる治療家さんに出会えず、心身ともにコンディションを崩すことになってしまいました。結果的に入院をして、バレエができなくなった時期があったんですね。そういった経験から、身体の不調に対して、真剣に向き合っていきたいという想いが一番の理由です。
 また、バレエは非常に特殊な身体操作であるから、自分の感覚だけで指導をすることは危険だなと前々から思っていたので、独学で解剖学を学んではいたものの、しっかりと学び、生徒のケアなどもできるようになりたいと思い、施術家を目指しました。


–なるほど。実際に施術家になって、自身のパフォーマンスや指導には活かされましたか?

 もう、身体に対する概念がガラリと変わりました。コンディションを整えるとはどういうことなのか?という問いに対して自分の中で整理されて、長い時間行なう普段の指導やダンサーとしての活動での疲労感が、かなり軽減されています。

 


■ バレエとサッカー


–身体に対する概念の変化について、もう少し詳しく伺いたいです。

 例えば、以前は表面的に筋肉の張りやコリが全ての原因だと思っていたことが、今は骨格の調整、骨格的なアライメント(配列)が整わないと身体のベースとして成っていかないなと理解しています。
大枠ではありますが、「骨格のアライメントを整える」という概念です。その概念の獲得は、非常に大きいと思います。


–その概念は、B-Wave Promotionのサポートでも強調している点ですね。

 その通りです。

 

–ありがとうございます。それでは早速本題に入っていきます。現在、バレエダンサーである阿部さんに、プロを目指す若いサッカー選手をサポートするB-Wave Promotionのトレーニングサポートをしていただいていますが、改めて「バレエとサッカー」の共通点については、どのようにお考えですか?

 これは球技の中でサッカーだけに言える大きな特性ですが「ボールを扱う際に片脚に重心が置かれること」が一つ挙げられます。他の球技では、手や道具を使ってボールを運ぶことができますが、サッカーは基本的に脚でしかボールを運べないので、どう頑張っても両脚が同時に着いた状態でボールを運ぶことができません。そういった意味で、「片脚重心」がサッカーの大きな特徴であるといえます。
 対して、バレエの基本的なエクササイズは、身体を引き上げると同時に「片脚を床から離して操作するという目的があります。この点が、サッカーとバレエの最も大きな共通点だと認識しています。どちらも「片脚での重心軸を構築する」ということですね。



–確かにサッカーは、走るという移動も含めて片脚に重心が置かれる状況がほとんどなので、共通しすぎていますね。

 加えて、バレエの片脚重心は必ず左右対称に使えるようにトレーニングをします。人間は日常動作として、つまり歩行時には片脚ずつ上げるカタチになっている、これはもちろん当たり前に行われてはいるのですが、よりスムーズな重心移動を伴いながらこの「片脚を床から離す」という動作に特化した形で行われているのがバレエのエクササイズです。その点で、大きな共通点といえます。



–サッカーでは、レベルが高くなるほど左右対称にプレーできる印象です。利き足ではない足でボールを蹴れない選手は、ボールを扱う技術(ボールと足が接地する感覚)が足りないというよりかは、蹴る際の身体動作がぎこちないからボールが蹴れないように見えます。

 バレエでは、はじめは左右対称でできませんが、とても大切な動作なので必ず左右対称になるようにトレーニングをします。サッカーとは話が少し逸れますが、バレエでは回転に得意不得意が出ますね。回転も左右対称になるようにトレーニングを行います。



–さらに、バレエとサッカーの関係性について伺ってもよろしいですか?

 これは大きくサッカーに限らないと思うのですが、バレエのエクササイズは柔軟性やモビリティを獲得するプログラムになっているので、スポーツに応用した時の有益性はあるんじゃないかなと思います。さらに体幹操作の観点からも非常に有益性があると考えています。バレエにおける基本的な立ち姿勢を「引き上げ」と呼ぶのですが、これは肋骨部分と骨盤が離れて腰部に隙間ができるようにします。このことにより、上半身と下半身の分離操作が可能になる、つまり背骨がより良く動けるようになります。さらには股関節の可動性が増し、脚の運動もスムーズになることが期待できます。またサッカーでは欠かすことのできない”腸腰筋”にも良い効果をもたらします。腸腰筋がパフォーマンスを発揮するためには胸郭、つまり肋骨部分の柔軟性がマストです。バレエの身体操作に含まれるエクササイズはこの胸部の可動性を高めるものが多くあり、バレエダンサーのしなやかで力強い動きはこの部分の柔軟性と可動性がもたらしていると言っても過言ではありません。そのエクササイズをトレーニングメニューの一環として取り入れることは、サッカーのみならず他の競技に置いても有益ではないかと考えています。

 


■ サッカー選手の身体、そして課題

 

 

–ありがとうございます。
 実際にサッカー選手をサポートしている中での印象を教えてください。

 これまで施術をさせていただいた方はバレエ関係者含む女性が多かったので、初めてサッカー選手を施術したときは、シンプルに「筋肉量が多いな」と思いましたね。男女差以上に、サッカー選手はウエイトトレーニングをしっかりされているんだなと思いました。ただ、外側の筋肉、いわゆるアウターマッスルのみのトレーニングは危険な場合もあるので注意が必要かなとも感じます。もちろん、アウターは絶対的に必要だと思うのですが、骨格を内部で支える筋肉、いわゆるインナーマッスルがしっかりとはたらいていることが大前提です。骨格はいわば身体の土台、つまり骨組みとして柱の存在を果たしています。柱を支えるものが脆弱なのに、外壁を厚く屋根を分厚く積み上げていったら…骨組みそのものが破綻してしまいます。ランや身体内部への刺激、さらに土台となる足指など、身体を支える前提が整った上で、アウターをしっかり積み上げていけると良いと思います。



–サポートをしてきたサッカー選手の印象として、改善点はどのような点だとお考えですか?

 まず前提として、柔軟性が乏しい印象ですね。動きが硬い、というか。これは第一に挙げられると思います。



–まさに伺いたいと思っていました!
日本サッカーでも育成年代からストレッチをする傾向はあるのですが、十分な柔軟性をもった選手は多くありません。もちろんバレエとサッカーでの柔軟性の必要度合いは違うと思いますが、バレエではどのような過程で柔軟性を獲得していくのですか?
 
 まずバレエにおいては幼児期から小学校に上がるまでの骨盤が固まっていない時期に、開脚など大きな柔軟性を獲得する動作、可動域そのものを広くするようにストレッチを行います。「骨格の前提を変える」イメージですね。



–幼少期でのストレッチが大きく影響するんですね。

 そうですね。ある程度年齢を重ねてからでも柔軟性の獲得は目指せます。生まれつきの骨格の特徴にはよりますが、15歳くらいまでに骨格の前提を作っておくべきです。サッカーではポジションがあるので、特性によって求められるものが違うのではないか、と思います。
 バレエでは、絶対にこの形になれないといけないというケースがありますが、サッカーであれば個々の身体特性を生かした上でのプレースタイルというのは十分に可能だと思います。
また、身体のパーツで動いている印象の選手も見受けられます一つの動作を見た時に、パーツの動作にフォーカスし過ぎてしまい、身体全体の動作認識になっていない、そのため、ある動作を自分の中に落とし込んだとき、それを全身の調和として動くことが不得手な方が多いかな、という印象です。



–その原因はなんだと思われますか?
 
 すごくざっくりした言い方にはなりますが、身体が詰まっているなと思います。身体のパーツごとの力感が強く、力で何かをしようとするイメージですね。
 本来は、一つの流れの中でその動作が必然としてあるはずなんですが、頭で考えて動いちゃうせいか、「この動作をやらねば!この形を作らねば!」みたいな印象を受けます。
もしかしたら、先生に言われたことをやるという日本教育の影響もあるかもしれません。



—外国人選手は違うような認識での動きになっている可能性がありますね。
 
 彼らの世界観での認識だと思うので、どちらが良い悪いということではなく、やはりそれは日本人とは異なるのではないか、と思いますね。





後編は近日公開!


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【Profile】

Junko Abe / 阿部 純子



2006年バレエスタジオAile設立。主宰・講師。東日本療術師協会 認定療術師。桜美林大学 非常勤講師。

解剖学的見地に基づいた身体操作方法および施術を通し、選手一人ひとりのポテンシャルを最大限に引き出すアプローチで、コンディショニングおよび指導にあたる。
トレーニングと施術を合わせた身体機能向上・メンテナンスプログラムは、さまざまなジャンルのプロアスリートから厚い信頼を得る。

2020年より、B-Wave Promotion提携トレーナーに就任。
弊社契約選手のフィジカル面のサポートを行なう。










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B-Wave Promotionでは、『日本が世界に勝つその日まで』を理念として、若いフットボーラーの海外挑戦サポート及び選手育成を行なっています。


提携トレーナーによる身体操作トレーニング、半年間の語学サポート、日本国内でのトレーニングサポート(不定期)、サッカー指導者によるプレーコンサルティングなど、若い選手達のトータルサポートを行なっています。

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